いち早くITを導入。社内業務とユーザーへのクロージングを徹底効率化。株式会社レモネード・レモニカ
株式会社レモネード・レモニカ
株式会社レモネード・レモニカは、オリジナルレシピのレモネード専門店を全国に約100店舗展開しています。代表の河村氏は、飲食業を始めて10年以上の経験があり、創業当初からインターネットを使って社内でのセントラルキッチンと店舗での受発注を行うなど、いち早くデジタル化の導入に取り組んできました。
どのようなデジタル化に取り組まれていますか?
本格的にITの導入を始めたのは7年前のEC(Electronic Commerce)です。その後、ECを通じて店舗を展開していく際に本部から店舗に発送する商品、例えばユニフォームや備品、消耗品などをすべて各店に販売するという仕組みを構築しました。また、社内でのワークフローをすべてDX化して、社内では稟議にかけたり、稟議書にハンコを押したりという流れは基本的にはありません。
対顧客ではECに加えて2年前にモバイルオーダーのアプリチューモンを導入しました。きっかけは、冷凍ピザのEC販売が全国放送のテレビ番組のゴールデンタイムに放映される機会があったことです。夜8時にテレビで放映されても、始めの5分間は注文が入らず、6分ごろから一気に入ってきます。通常ならお店は営業していない時間だから次の日の朝まで売り上げは一円もでない。しかし、ECで販売しているからこそ、次の日の朝までに場合によっては数千万円という売り上げができるという現実を目の当たりにして、ECのパワーを感じました。
インターネットで情報を得る割合が増えている時代の中で、インターネット上でクロージング、24時間購入できるという間口を広げていないと機会損失ではないかと意識していました。ですので、まずは僕らのインターネットでは24時間予約注文で買える、買いたいと思ったときに買える環境を整える。なにかしらの理由で話題がでたときにその場で買えるチャネルを用意する必要を感じました。
デジタル化において、意識している点はありますか?
すべての情報・説明はネット上に記載できるため、迷ったときに質問しなくてもそのサイトやシステムの中で解決できるような仕組みにしていることです。この仕組みを社内・顧客の両方に対して行っていることです。具体的には、アプリ・サイトの使い方、活用方法はそのツールの中でマニュアルにアクセスできるようにしています。フランチャイズの加盟店が「分かりづらい」という点や、添付ファイルにどのようなファイルを添付したたら良いのか、マニュアルの分からないところは、URLで飛んでマニュアルが書いてあるページに飛ばすなど、申請フォームもしくは経路を見れば何をすれば良いかすぐわかるようにしています。
実際、アプリでの注文を導入した際に、全部ヘルプ画面を設け、困ったとき動画を見られるようにしているので、本部には連絡が来ることはありません。1店舗ずつ教えに回ることは、教えに回ったときに居た人以外には分からないことがあることを認めていることになると考えています。1回も教えに回らないで、その中にあるという風にしないと、結局どこかでその情報が途絶えてしまうと思います。
しかし、ワークフローに関しては、基本的な業務をすべてDX化して、ワークフローにして誰が申請したのか、誰が承認したかのエビデンスが残るようにしているので、それを「面倒くさいんじゃないか、口頭でいいんじゃないか」という話が出ることはあります。ただ、よくよく全体の設計を考えたときには、上司に聞いて「いいよ」と言われたから違う部署に行って「私は上司にいいよって言われたんですけどいいですか?」という話をするくらいならば、いいと言う部分は上司とコミュニケーションをした方が早いけれど、いいと言いながら尚且つワークフローにあげておくことで、その後関わる人に自動的に情報が飛ぶので、そこでぶれないという形にしています。
デジタル化によるデメリットはありましたか?
できるだけITで解決できるようにしたことで、コミュニケーションや会議は少なくなりました。しかし、業務に関して言えば、雛形や前例があれば、それを理解できていないことで問題が起きるので、しっかりと説明して理解できれば意思決定は変わらないと思います。口酸っぱくいう時代ではなくて、ちゃんとアクセスできる場所にちゃんと情報が置いてあるということが大切。それ以外のコミュニケーションは飲み会などで、言いたいことが言えるコミュニケーションなどがあれば良いと考えています。
一方でITを導入するとおもてなしの面、温かさが薄れるという話もあります。以前、電話をするよりも手紙の方がいいと言っていた人がいました。しかし、ITも使い方次第です。非常に親切なもの、ウェブサイトを見ているだけでおもてなしを感じるITもあります。直接会っておもてなしできたときの人の感覚、センスをITの方に入れていくべきと思います。
今後コロナ禍において飲食チェーンを含め、IT導入をどのように進めていくか、どのような将来ビジョンがありますか?
モバイルオーダー、モバイル決済、無人販売店。コロナ禍に於いて非接触という点は需要がありますが、これから先のことを見据えて、外食産業というのは圧倒的人員不足へと急加速するので、DXを使った効率改善やコスト改善ではなく、少人数化に舵をきっていく必要があると考えています。それをシステム導入で叶えていく。
会社として導入しようとしているのは、飲食業に特化した経営改善ツールを入れたいと思っています。飲食業界の方は、ITに強いわけでも、経理に強いわけでもない。お客様の前で料理を作ること、サービスすることに時間を割くべきだと思っています。例えばレモネード屋さんで、3人でレモネード売っているとします。1人が店長で2人がアルバイト。業務は何があるかというとドリンクを作る人、オーダーを取る人、レジを打つ人。そのような場合、レジを打つ作業を店長がやります。つまり商品を作っていない、商品価値に寄与していない。なぜかというとレジ打ちが面倒くさいからです。商業施設においては、様々なクレジットカードを使えなきゃいけない、このポイントが入ったらこれをやらなきゃいけない、ここら辺は気を付けないと間違えて打ってしまうなど、そんな事を考えて一番能力の高い人が一番生産性のないことをやらないといけないという状態が往々にしてあります。このような無駄をなくすために、統合のコストを使う、モバイルオーダーと無人販売といったものをより活用する、ということを進めていきたいと考えています。
IT導入は、導入をしてからがスタート。「IT導入して3年経ってようやく上手く使いこなせるようになりました。」というような目標で導入するべきだと思います。