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IT導入地域課題解決

「トライアンドエラー」の精神。デジタルのメリット・デメリットに前向きに取り組む。1の1 NONOICHI

1の1 NONOICHI

「1の1 NONOICHI」は、野々市市、野々市市観光物産協会、民間事業者が協力している民間商業施設になります。地元野々市の事業者様はじめ、市内外の様々な商品を扱う物販コーナー、シェアオフィス、シェアキッチン、食堂などが同居する複合施設です。飲食店プロデュースの「おまめ舎」(野々市市)と野々市市観光物産協会が共同で2019年から運営しており、利用者は1日平均300人程で、イベント開催日は1日1,000人程度。10代20代の若い世代からご年配の方々まで、幅広い客層に利用されています。

コロナ禍による影響はどのくらいありましたか?

新型コロナウイルス感染症での食堂事業の影響は、店内飲食ではもちろんありましたが、元々テイクアウトのスタイルを強化していたので、コロナ禍においてもテイクアウト主体で販売できました。その仕組みを活かして、家に子どもが一人でいるご家庭にお弁当を配達し、安否確認をする、という試験的な取り組みも実施しました。

「1の1」の強みは挑戦し、新しい事に取り組みやすい組織であることです。行政は失敗が許されず慎重な面がありますが、我々は挑戦的な失敗がここでできています。

具体的にどのようなデジタル化に取り組んでいますか?

新型コロナウイルス感染症をきっかけに、レジで行っていた料理の注文を、お客様が自身の携帯電話からアプリを使って注文をできるようにしました。会計はお帰りの際にレジでしていただきますが、短時間で済むようになり感染リスクの軽減につながっています。導入にあたり、若いスタッフが多いこともあり教育はそれほど必要としませんでした。またお客様も9割方がスムーズにデジタルオーダーすることができました。できない方にはコミュニケーションをとりながら使っていただきました。

実際にデジタルオーダーを導入してからどのように変わりましたか?

お客様が落ち着いて注文・決済ができるようになりました。これまでは料理の注文から会計まで事前にレジで済ませる必要があったため、注文の行列に並ばれたり急いで注文されたりするケースが多々ありました。しかしデジタルオーダーになると座席でゆっくり注文をできるようになり、お客様のペースで注文ができるようになりました。さらに追加の注文もしやすくなったという声や、女性のお客様からは大盛の注文がしやすくなったという声も伺っています。また、メニューをゆっくり見てもらうことで、ドリンクセットの安さに気づいてもらいやすくなり、注文数が増えるなど、店舗側にもメリットがありました。

レジ対応が減ったため人件費と感染リスクも抑えられる、長時間レジを待つお客様に対してスタッフが心苦しく思わなくてよくなるなど、運営面でもメリットを感じています。レジの負担が減った分、代わりにお客様に目を向けられる時間が増え、お客様からの満足度が上がって凄く良かったと思っています。その一方で、お客様との接触時間が減ってしまうというデメリットもあるため、お客様と接する時間をSNSなど含む様々な方法でとっていきたいと考えています。

料理の受け渡しは席にいきコミュニケーション

他にも取り組んでいる・今後取り組むことを検討しているデジタル化はありますか?

デジタル化により、新たなアイディア・取り組みを生み出す時間が増えました。その時間を活用して、InstagramやLINEを活用した情報発信、そしてUber Eatsを新たに導入しました。

Instagramはおまめ舎が運営を行い、うまい言い回しや人にささるような表現方法を意識して、デザイナーとカメラマンを入れてコンテンツを作っています。LINEは何千万人もの人に利用されている発信力に着目。割引や月1回のクーポン発行などお客様を飽きさせない工夫を取り入れています。Uber Eatsの導入について、売上が1割増えました。保障対象がしっかりしており導入しやすかったと思います。SNSの投稿は頻度や時間なども意識して、みんなでお客様の立場に立ちながらお客様がどう思うかを考えて愛情を持って取り組んでいます。

LINEの友達登録をすることで簡単にポイントカードとして利用可能

デジタル化についてどのように考えていますか?

デジタル化でいいものがあれば、メリットデメリットを考えながら、どこよりも早く実施していきたいと考えています。デジタル化に興味のある方たちも来てくれることがあるので、少しでも先に取り入れたいと考えています。現在考えているものとしては、食堂横で販売している物販に関してデジタル化を検討しています。POSレジでの売り上げ管理や、どういった商品が売れているかというような集計を除いてアナログなところが多いという印象です。EC(Electronic Commerce)に関しても検討したいと思っています。

デジタルオーダー導入の際、他に同様の形式をやっていた事業者は、石川県に1件しかありませんでした。自分達もできるか分かりませんでしたが「トライアンドエラー」で一旦やってみました。結果が思わしくなければやめればいい、という気持ちで今後もやっていきたいと考えています。

お客様のニーズを把握しながら、何が運営にとって必要なのかを会議で話し合い、決定し、デジタル化を遂行。結果を把握し改善。その繰り返しを大事にしながら、みんなで地域やお客様のことを考えて歩んでいます。