固定概念にとらわれず様々なITを実装。デジタル化の推進と、お客様に心地よく過ごしていただくおもてなしとの両立を目指す。株式会社 All Dash Restaurant Systems
株式会社All Dash Restaurant Systems
株式会社All Dash Restaurant Systems(オールダッシュ レストランシステムズ)は、石川県金沢市を中心にフードビジネス事業(和食店などの外食事業)を行っています。2011年に設立して以来、底曳き割烹「もんぜん」、貸切会議室&ビュッフェ「まれ」、プリン専門店「D’or」など、石川県内に6店舗の飲食店を展開・運営しています。
多くの飲食店を経営する中で1つの課題として人手不足があります。そんな課題を抱えた株式会社All Dash Restaurant Systemsにおける、時間やコストの削減をデジタル化にて取り組んでいる事例をご紹介します。
どのようなデジタル化に取り組んでいますか?
配膳ロボットを導入しました。これはダイワ通信株式会社からのアプローチがきっかけです。大手の外配膳ロボットを導入しました。これはダイワ通信株式会社からのアプローチがきっかけです。大手の外食企業は先進的に導入を行っていますが、1台のレンタル費用が10万円程します。10万円はアルバイトを100時間雇用できる金額になりますが、配膳ロボットはアルバイト1人分ほどの仕事を担う事はできない為、コスト的に見合いません。これに対して、ダイワ通信株式会社が開発した配膳ロボットですと月3万円程で導入できるため、実質1日1,000円~1,500円。中小の飲食店でも導入できると思いました。弊社用にカスタマイズするからトライしてみてほしいとお声掛けいただいたこと、そして石川県産業創出支援機構の補助金も活用できることが決め手となり導入しました。配膳ロボットは、行先のテーブルを指定できます。複数のテーブルを経由させることも可能ですが、その際は載せるものは考えないといけません。自分の注文した料理がほかのテーブルを経由していくのはお客様によってあまり気分のよいものではないと考えるので、そこは配慮しています。配膳ロボットはコロナ禍での非接触ツールとして役に立つとともに、生産性を上げて人手不足の緩和につながる事を期待しています。繁忙時間帯の猫の手も借りたいときのドリンクのみの配膳に利用したり、スタッフが一度に下げられない量の下げものを一度に全部下げたりといった場面で役に立ってくれています。その他にもどの場面で稼働させるのが効率的かを模索しています。
また、プリン専門店「D’or」にてEC(Electronic Commerce)をはじめました。店舗販売の他にインターネットで売っていくことを考えたときに、Amazonに出店しましたが、ほとんど注文が入りませんでした。出店数が多すぎて埋もれてしまうのが原因です。そこで、実店舗でブランド力と知名度を上げていった後にECでの売り上げも伸ばしていく事にしました。
他にはどのような取り組みをされていますか?
ドローン事業に参入しました。将来的にドローンでのデリバリーの可能性を感じている大手の飲食チェーン店などがドローンの研究や実証実験をしている段階ですが、ドローンでのデリバリーが技術的にも法的にも可能となった際に、自店舗の分だけでなく、その他の中小の飲食店のデリバリーを担う事で、石川県の飲食店に貢献できたらと考えたのが、ドローン事業に参入した経緯です。その第1歩としてドローンスクールを開校することから始めました。
また発注や勤怠管理もデジタル化しています。これまでは各店舗の料理長に納品書を手入力してもらい、Excelで原価計算をしたものをチャットアプリのグループにあげてもらっていましたが、受発注システムを導入したことにより毎日の手入力が無くなりました。現在では原価計算も発注も自動で処理しています。以前はFAXを使っていて1件1件発注書を送っていたため、その手間がなくなり時短にもなりました。勤怠管理システムについては、人時生産性なども見える化される為、生産性向上の指標にもなっています。
今後のデジタル化について展望はありますか?
業務全般でデジタル化を進めたいと考えています。例えば、タッチパネルのテーブルオーダーを導入して配膳ロボットと連携したり、ライスロボ(業務用自動炊飯機)を導入したりなどです。しかし、デジタル化であれば何でもいいという訳ではありません。例えば、以前にスマートフォンからQRコードで注文する仕組みを導入しましたが、スマートフォンを持っていない年齢層の方にとっては少しハードルが高いものでした。現在は県の補助金を活用して、スマートフォンに抵抗がない30-40代のお客様が多く来店する店舗などでの導入を検討しています。他にも、ライスロボを朝の時間帯に投入して米を研いで炊いてもらうだけで出勤時間を1時間減らせるため、スタッフの負担軽減や人手不足対策に効果があると考えています。このように、課題解決や効率化に向けて必要なテクノロジーも積極的に取り入れていきたいと考えています。
飲食業界のおもてなしや接客と、デジタル化の兼ね合いはどのように考えていますか?
デジタル化していく部分と、おもてなしの心を育てていく部分とを両立させていきたいと考えています。作業はシステムやITで効率化できれば良いのですが、お客様に大切な時間を過ごして頂くおもてなしはスタッフ1人1人が心をこめて行っていきたいと考えています。経営理念である「“感謝やありがとう”がうまれる幸せなおもてなしを」にこめた想いを、社員だけでなくアルバイトスタッフさんにも大切な価値観として持っていてもらえるように、経営理念の浸透に向けた取り組みを行っています。具体的な内容の1つとして、感謝やありがとうが生まれた瞬間のエピソードをスタッフから集め、動画にして、全スタッフがいつでも視聴できるようにしました。お客様や同僚との感謝のエピソードがあふれたその動画を見て、私も皆と一緒にこの仕事をしてきて幸せだとしみじみ感じました。
またこれも一例ではありますが、スタッフに対して、「私達はただ料理を売っているのではありません。お客様が美味しいお食事を楽しみながら、幸せな時間や思い出作りをして頂くおもてなしの場を、お買い上げ頂いているのです。」と伝えています。他にも様々な取り組みを行っていますが、経営理念の浸透を意識する前より、社内で「ありがとう」や感謝の言葉が飛び交うようになったと感じています。
ヒトにしか持ちえない想いやおもてなしと、デジタル化をうまく取り合わせる事で、お客様に心地良いおもてなしを提供し続けていきたいと考えております。